|
「先生、人間っていくつになっても苦しみがあるものですね」64歳の主婦の方からの手紙です。69歳のご主人は完全に隠退、家のまわりのことをよくしてくれますし、やさしくなりました。64歳で健康な彼女は働きに出ますが、ご主人が車で送り迎えしてくれます。やっと二人きりで幸せになったと思っているところに、息子の単身赴任にともなって、嫁と孫三人が同居するようになりました。嬉しいと思ったのもつかの間、嫁との心のもつれで、幾晩も泣いて眠れない時を過ごすというのです。
人生には苦しみが絶えません。それぞれの時代にそれぞれの苦しみがあります。新約聖書に出てくるパウロは、苦しむために生まれてきたような、苦難の生涯を送りました。何度も投獄され、鞭や石で打たれて死にかけたことも何回か。貧乏生活、孤独、人間関係のもつれ。
彼は、決して鉄人ではありませんでした。「言うのも恥ずかしいことですが、私は弱かったのです。私の心は激しく痛みました」と告白しています。その彼は、苦しみの生涯を通して、喜びにあふれ愛に息づく、輝かしい人になったのです。
彼は苦しみの中から、「人間はなぜ苦しむのか」の三つの理由を明らかにしています。(新約聖書・コリント人への手紙第二・1章に出てきます)
(1)神が苦しみの中でくださる本物の慰めで、私たちもまた、苦しむ人々を慰める人になるため。
「神はどのような苦しみのときにも、私たちを慰めてくださいます。こうして、私たちも、自分自身が神から受ける慰めによって、どのような苦しみの中にいる人をも慰めることができるのです」(4節)
(2)人や物や自分に頼らず、いつも100%神だけを信頼する、力強い人になるため。
「(私は何回も)自分の心の中で死を覚悟しました。これは、もはや自分自身を頼まず、死者をよみがえらせてくださる神により頼む者となるためでした」(9節)
(3)苦しみの中に、神は、祈りと感謝を共にする真実の友を与えてくださるため
「あなたがたも祈りによって、私たちを助けて協力してくださるでしょう。それは、多くの人々の祈りにより私たちに与えられた恵みについて、多くの人々が感謝をささげるようになるためです」(11節)
神は最善のみをなさる方です。無駄に私たちを苦しめなさいません。苦しみの中で、必ず、本物の神の慰めを与え、私たちを慰めの人にしてくださいます。
苦しみの中で、物や金や他人、そして自分自身を頼りにする、なまくらな生き方から私たちを助け出し、神だけを100%信頼する力強い生き方に導いてくださり、苦しみの中で真実の友を与えてくださいます。愛の共同体で一緒に祈る時、私の心から、友の唇から、感謝の叫びがあふれるのです。
|