矛盾の生産物

 「わしの仕事は決して複雑じゃない。むしろ単純だ。でもまことに難しい仕事だと思うね。たいてい、男たちのやりたくないことをやらせるのだからね。でもわしの仕事が成功すると、男たちはみんな大満足だよ。待望の勝利を手にするんだからね」・・・あるフットボールのベテラン・コーチのことばです。
 人生の真実な満足は、“矛盾の生産物”だと思います。
最高のリーダーになるためには、最も忠実なしもべであることが必要です。最も大きな仕事をまかされるようになるためには、最も小さな仕事を忠実にやりとげる人であることが必要です。人々にきちんと働いてもらいたいのなら、規則をふやしたりきびしくしたりすることじゃなく、大きく人々を信頼してあげることです。たくさんお金をためたら大きく献げることができると思ったら大間違い、大きく献げると大きく与えられるのです。
 神はいつも、「最上の贈り物を」「裏口から」「期待もしない方法で」「びっくりするような矛盾したやり方で」お届けになるのです。
 健康を求めているのに、時々神様は不治の病いに追いやり、その中から、体の健康以上のもの“永遠のいのち”を与えられます。中学教師になったばかりで首の骨を折って全身不随になってしまった星野富弘さんも、小学校四年生のとき高熱のため動くのはまぶただけになってしまった水野源三さんも、まったくその通りでした。
 富を求めているのに、神は貧しさを通らせ、人生の最大の富“神を知り神を畏れる神の知恵”を与えられます。この世の権力や地位を求めると、弱さのどんぞこに落とし入れて、悪魔にも死にも打ち勝つ“信仰の勝利”を与えてくださいます。パウロは言います。
「ああ、神の知恵と知識との富は、何と底知れず深いことでしょう」(ローマ人への手紙11:33)
 イエス・キリストは言われました。
「だから、神の国と神の義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます」(マタイの福音書6:33)
人生のほんとうの勝利も満足も、自己追求のエゴイズムの延長線上にはないのです。そんな自己追求、自己満足、自己栄化が、どこかでぺしゃんこにされ、絶望や悲しみを通って自我の葬式を経験することが必要です。そこから神が、永遠の満足や勝利を与えてくださるのです。