ハカラメという変わった名前の植物があります。新聞のコラムで読んだのですが、ハカラメというのは読んで字のとおり、葉から芽が出るというのでこういう名前がつけられたのだそうです。このハカラメという植物は、葉だけを中ぶらりんに、しかも逆さにつるしておくと、ものすごい生命力でいくらでも繁殖するということです。それでこのハカラメという植物のよく生える小笠原諸島の父島の人たちの間では、逆境に強い植物として重宝がられ、また親しまれているのだそうです。逆境に強く、生命力のおうせいなハカラメ、なにかうらやましいような、またあやかりたいような気がしてきます。
 もちろん私たちが、順境の中で良い環境の中に置かれるというのは素晴らしいことに違いありません。でも温室育ちといいましょうか、あまり良い環境にばかり恵まれていますと、どこかひ弱になりやすく、ちょっとした環境の変化にも対応しにくい面があるようです。
 私の家の小さなベランダに、いろいろな植物を置いているのですが、温室育ちは、ちょっと強い風に当たるとすぐ弱ったり、日当たりが強かったり、寒かったりしても、すぐだめになります。やはり温室育ちは弱いんだなあとつくづく思わされています。
 私たちが生きていくうえでは、当然、順調と思えるときもあれば、逆境という場面に立たされるときもしばしばあるわけです。特に現代のような複雑で、先行きの不透明な時代であれば、いつ何どき、思いもかけないような状況に追い込まれるやら予測はつきません。しかしそんな中で、ハカラメではありませんが、逆さにつるされても芽を出していくように、どんな環境の中でも生きていけるたくましさが欲しいものです。
 偉大な伝道者パウロという人は、次のように言っています。
 「私は、どんな境遇にあっても満ち足りることを学びました。私は貧しさの中にいる道も知っており、豊かさの中にいる道も知っています。また、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています」(ピリピ人への手紙4章11-12節)
 彼の生涯を見ますと、彼ほど「あらゆる境遇」を通った人物はないのではないかと思われるほど波乱万丈の人生でした。そんな彼が「あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ている」と言うのです。その「秘訣」とは何でしょうか。次の句で「私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです」とパウロは説明しています。その「強くしてくださる方」とは、キリストを指しているのは言うまでもありません。